今では全国各地から宅配便でクリーニング品を送っていただいている。
化学物質過敏症やアトピー性皮膚炎の方をはじめ、色んな声がクリーニング品と一緒に届く。
ある日、アトピー性皮膚炎の女の子から感謝のお手紙をもらった。
「小さな頃から衣服はチクチクして不快な物でした。それが当たり前だと思っていました。でも、クリーニングハウス ムウさんに出した制服は、とても気持ち良いしホッとします。衣服がチクチクすることが、異常な事だと初めて気づきました。裸でいる時間はほんのわずかです。チクチクイガイガした刺激から解放されイライラすることもなくなり、本当に感謝です。・・・」
このような声をきけば聞くほど、「安心安全・手洗い手仕上げ・全品水洗いクリーニング」の必要性を感じる。


私たちの健康を考える上で、食と同じように身体を包む衣服の質や安全性を考え関心を持つことは、とても重要なことだと考えている。
消費者が無農薬野菜を選ぶように「私たちは高くても安心安全(クリーニング)を選びます。」という声をあげることで、クリーニン業界もドライから脱却せざるをえなくなるのではないだろうか。


洗い場のキーンと張りつめた凍りつく空気を削り出すように、「シュッ、シュッ、ザッ、ザッ!」とワイシャツの襟を擦るブラシの音だけが響く。
ステンレスのボールに水を入れ、ブラシを時々それに浸けながら洗う。
「このシャツを気持ちよく着ていただけますように、ありがとうございます。」と、一心不乱に洗う。
時々、木製で出来たブラシの柄が、ステンレスのボールに当たり、お寺の鐘の音のように「カーン」と鳴る。私はその音でハッ!として手を止める。
そこには、いつの間にか「ありがとうございます。が、あーしんど!」に変わっている自分が時々あり、「私もまだまだダメだなあ」と思う。
私は、そのステンレスボールを「戒めのステンレスボール」と呼んでいる。
汚れを落とすブラシの一つ一つを真心こめて擦る。
しみ抜きをする時も、アイロンをかけるときも、包装をする時も、一つ一つに「ありがとう・・・」と心をこめて。
一つ一つの何気ない動作が、お客様の幸せを願う祈りであり、ふと気が付けば「有難い有難い・・・」と呟いている、そんな一日がおくれる自分になりたいと思う。
めずらしくチラチラと舞う雪を眺めながら色んな思いを巡らせる。
私の原点を忘れないようにしよう。
自分らしく生きたい。

雪の中でも春の訪れを告げる、素朴な可憐さと力強さを秘めた雪中花の花のようでありたい。